独り言

30秒

院長のひとりごと188

クリニックのスタッフが増えたため、駐車場が手狭になり患者さんから車が駐めづらいと苦情が来ました。
そこでクリニックの隣にある駐車場を借りることになりました。
実はこの隣の駐車場の土地は、うちのクリニックの土地と同じ地主さんが所有していました。
その地主さんが今の駐車場の所有者に土地を売る前に、うちに土地購入の打診があったのですが断ってしまいました。
かなり広い土地で、購入しても新規に事業展開する目処がつかなかったのです。
今にして思えば購入すればよかったのかもしれません。
今更そんなことを言っても始まらず、ともかく7台分の駐車場を借りることが出来てほっとしました。
おかげで患者さんの駐車スペースが確保できました。
それはよかったのですが、この新しく借りた駐車場に誰が車を駐めるかでもめたようで、スタッフはローテーションを組みました。
私はこれを知りがっかりしました。
クリニック敷地内の駐車場なら、出入り口から車まで10秒でたどり着けます。
新しく借りた駐車場だと40秒かかります。
スタッフはこの30秒を巡ってローテーションを組んだのです。
確かに30秒は、時には取り返しのつかない遅れとなることも、私たちの仕事ではあります。
とはいえ、先に来た人から順に新しい駐車場に車を駐めて、患者さんのスペースを確保するという発想は無かったのでしょうか。
ここまで考えてはっとしました。
肝心の私がクリニック内に自分の駐車スペースを確保していたからです。
スタッフを嘆く前に、先ず自分のすべきことがあると分かり、直ぐに自分の駐車スペースを新しい駐車場に移しました。
スタッフの患者さんに対する誠意のなさを嘆く前に、自分の身勝手さを戒めるべきでした。
全くお恥ずかしい限りです。

誠意というものを計るメモリは無いのでしょうが、もし「秒」という単位で誠意を計ることが出来たとしたら、私の患者さんに対する誠意は30秒に満たないものでした。
クリニックのリーダーとして襟を正さなければならないことが多々あるのですが、また一つ思い知らされました。