Dr.コトー診療所
Dr.コトー診療所というテレビドラマがあります。
私はこのドラマを録画して、何度も繰り返して見ています。
そして日常の診療で、自分が忘れがちな真摯な気持ちを取り戻そうと、努力しています。
私にとっては、このドラマは医者としての心のリハビリに欠くことの出来ないものです。
私はこれまでに腕のいい医者には何人も出会ってきました。
患者さん思いの優しい医者にも何人も会ってきました。
しかし、このドラマの主人公のような腕が良くて、患者思いの医者はなかなかいない気がします。
腕がいい医者はあちこちから引っ張りだこで時間がないのです。
ですが、1人この主人公のような医者を知っています。
私と同じ内科医でかつて共に研修医をしていました。
医者の1年目で私のような横着者でもそれなりに熱心に仕事を覚えようとしていましたが、彼は本当に生活全てを患者さんの為に投げ出しているかのようでした。
白血病の若い女性患者の担当をしていましたが、本当に熱心に診療を行っていました。
当時は今のように骨髄移植が出来る環境ではなく、またその患者さんは特に難しい症例でした。
3ヶ月毎のローテーションで患者さんの受け持ちを変わりましたが、彼は担当をはずれた後も、亡くなるまでずっと関わっていたようです。
大変陽気で愉快な人で、明け方まで飲み明かしたことも度々ありました。
その後それぞれ別の道を歩く様になり、たまに顔を合わせるくらいでした。
最近彼は母校の教授になりました。
彼の母校は私のクリニックと比較的近いところなので、メールのやりとりをし始めました。
彼は聞くところによると、研究業績もめざましいものがあったそうです。
臨床に優れ、研究にも優れ、尚かつDr.コトーの様に、患者さん思いの教授に指導して貰える彼の教室員は実に幸福だと思います。
実際に存在するのですから、私もDr.コトーを見て心のリハビリに励み、
少しは患者さんに喜ばれる医者にならなければ、と日々反省する毎日です。