映画の話。
私は元々映画が好きですが、出雲にいた頃は、もっぱらビデオばかりでした。
新宮に来てから大変立派な映画施設が出来たおかげで、封切り映画を見に行く機会が増えました。
もともとアクション映画やサクセスストーリーが好きなのですが、家内の影響で社会派の映画も最近は見るようになりました。
仕事にも絡んでいますが、「私の頭の中の消しゴム」や「明日の記憶」のようなアルツハイマー病を扱った作品には、作品自体の完成度の高さから来る感動と、医師という職業から来る思いが複雑に重なり合って、大変強い感銘を受けます。
これまで見た日本映画で、最も感動した作品は「幸せの黄色いハンカチ」です。
全ての作品を見た訳でもない私がおこがましいですが、日本映画史上最高の作品だと言ってもいい作品だと思います。
そして、最近この作品に匹敵する作品に出会いました。
「武士の一分」です。初め、私はこの映画を見ることに気が進みませんでした。
それは、主人公が盲目になるというストーリーを聞いて、とても悲劇的なやり場のない結幕を連想したからです。
ストーリーを書くことはルール違反ですから触れませんが、「幸せの黄色いハンカチ」の山田洋次監督は「武士の一分」でも夫婦愛、男の不器用な優しさの表現、男のシャイな一面を見事に描いていました。
それが、見ている人の心をじわーと暖かく包んでくれる映画になっています。
寒い冬に、凍えた身体をじっくりと暖めてくれるお風呂の様な映画でした。
登場人物それぞれが、実にきめ細かに描かれていて、何度でも観たい、また観るたびに新たな感動を与えてくれる映画でした。
思春期の私たちが高倉 健さんに憧れたように、木村拓哉さんは若い人たちから憧れられる俳優になる予感がしました。
この映画を見る独身の人は結婚に夢を持つでしょうし、長く結婚生活を送っている者は、夫婦というものはいいものだなと、映画の後嫁さんと手をつなぎたくなるでしょう。