母親の愛情
院長のひとりごと149
有名女優の息子である若手俳優が、スキャンダルを起こした時、母であるその女優さんがマスコミの、つるし上げのような取材を受けている様子をテレビで観ました。
その会見中に「自分と娘で息子の姉にあたるものは息子を支えていきたい。」と話していました。
この女優さんは息子を溺愛しており、かなり業界内で息子のために無理を押し通していたらしい様子が伺えました。
しかし、それはそれとして、この息子が母親の会見を見たらきっと救われるだろうなと感じました。
私も現在のクリニックのマネージメントを任された時、色々と壁にぶつかりました。
その折に、しばしば母親に愚痴をこぼしたことを覚えています。
母は何を言う訳ではなく、ただ私の話を聞いてうなずいてくれていました。
私の身勝手な愚痴だったかもしれませんが、無条件にうなずいて聞いてくれたことで、随分心が楽になりました。
子供にとって、母親は最後まで自分の味方でいて欲しいものだと思います。
世間から非難される様なことをしたとしても、最後まで自分に寄り添っていてほしいものだと思います。
スキャンダルを起こしたこの俳優が、この先どうなるかは分かりませんが、この世の中に自分を最後まで支えてくれる存在があることを、よりどころとして再起してほしいものだと思いました。
母の愛は諸刃の刃かもしれません。
溺愛して何もかも助けることで、息子の自立を妨げてしまった例もあります。
私の母は今は寝たきりで話すことも出来ない状態ですが、元気なときに私に「子供が倒れないように守るのではなく、倒れた子供が自力で立ち上がれるように育てたつもりだ。」と言ってました。
子供が倒れることが分かっていながら、それを黙って見守ることは大変勇気がいることだと思います。
子供が成功するために、努力している姿を何もせずに見守ることはとてもつらいことかもしれません。
しかし母親として「いつも見ているよ」という温かな愛情ビームを投げかけている限り、そして子供がそれを感じている限りは、じっと見守る勇気は必ず報われると私は思います。
2017年5月17日