パターン認識
院長のひとりごと131
コンビニでノンアルコールビールを買ってレジに行くと、レジ横にあるモニター画面の「20歳以上ですか?」という問いかけに答えるように言われました。
一瞬唖然としましたが言われるままに画面にタッチしました。
ちょっとしたことに突っ込みたくてしょうがない私は、一度に二つも突っ込みたくなってました。
買ったのはノンアルコールビールです。
ジュースやお茶とどう違うのでしょう?
私は今年還暦です。
しかも見た目は同級生の中でも老けていると思います。
こんなビジュアルの未成年がいたら間違いなく病気です。
しかもかなり珍しく深刻な病気でしょう。
課題を処理する際に、効率化を図るために生まれたのがマニュアルだと思います。
しかし、何故その様なマニュアルが出来たのかを理解することが出来れば、課題はさらに効率よく処理されると思います。
私に応対したコンビニ店員は、何も考えず言われたままにマニュアルに従った仕事をしているわけです。
悪い意味で、誰でも出来る仕事になっていると言えます。
うちのクリニックのスタッフでも、問題処理をパターン認識で処理する人がいます。
熱が出たらこうする。
血圧が下がったらこうする。
といったとっさに処置が必要な場面ではそれが生きていますが、全ての場面でパターン処理が通用するわけではありません。
たとえば透析患者さんは、尿中にカリウムを排出することが出来ないので、果物等のカリウムを多く含む食品を食べ過ぎると、血液中のカリウム濃度が上がって、不整脈などの心臓発作を起こすリスクが高まります。
内服薬で、高カリウム血症の患者さんに飲んでもらう薬があります。
でもこの薬は消化管からのカリウムの吸収を抑制する薬です。
従って、高カリウム血症になっている患者さんに飲んでもらっても、効果はありません。
「高カリウム血症ならこの薬」といったパターン認識で処置をしていると、大変な落とし穴に落ちることになります。
コンビニで買ってきたノンアルコールビールを飲みながら、こんなことを考えてしまいました。
2015年11月20日