院長のひとりごと234
私が新宮市に来て今年で20年になります。
来た当初から、医師会の活動の一つとして関わってきたのが、新宮市医師会準看護学院の授業です。
それまで島根医科大学に在籍していましたが、講義は殆ど担当していなかったので結構新鮮な気持ちで授業を始めました。
最初の頃の学生は授業の後よく質問してくれていました。
次第にそんな学生もいなくなり、だんだんと学生の活気も薄れて来つつありました。
それにつれ、私の授業も内容が薄れてきていたかもしれません。
そしてとうとう来年度の学生採用を中止することとなりました。
つまり現在の学生が卒業する2年後に、この学院は閉鎖となることが決まりました。
医師会の総意での決定なので、医師会の総会にはいつも委任状を送っている私には異論はありませんが、大変複雑な気持ちです。
現在うちのクリニックの看護師の大半が、この学院の出身者です。
この学院が無くなれば、看護師の確保が一層困難になることは火を見るより明らかです。
どう対策を立てていくべきか今思案中です。
以前漁獲量の減った漁師さん達が、漁場となっている海に注ぐ川の上流の山に、植林を行ったという話を聞いたことがあります。
植林した木が茂り落ち葉で土壌が肥沃になると、川に注ぐ水も栄養豊となり、ひいてはその水が流れ込む海の水も肥沃となり、餌が増え魚も増えるということだそうです。
かなりタイムスパンの長い話ですが、実に素晴らしい計画だと感動した覚えがあります。
少子化が進むなか、人不足は今後ますます深刻になっていくと思います。
資格が必要な職種ほど、人材不足は深刻になっていくことでしょう。
そんな折学生が集まらない、経費がかかる等の深刻な問題を抱え、閉鎖を決定したことは重々承知していますが、本当に閉鎖してよかったのでしょうか。
お役所は閉鎖には寛容でも再開には極めて消極的なものです。
現在の医師会の理事の先生は、私よりはるかに若い世代です。
彼らの医療活動に支障をきたさないことを祈っています。
山に植樹した漁師は若い人ばかりでなく、高齢の人もいたと聞きました。