病気のこと

神経障害

内科疾患による神経障害

内科疾患により神経障害をきたすことがあります。
喉ぼとけの辺りにある甲状腺の機能が亢進すると筋肉の脱力を起こすことがあります。
甲状腺にくっつくようにしてある副甲状腺は血液中のカルシウムを調節していますが、この機能が低下するとカルシウムの低下により手のしびれ、けいれんなどを起こします。
糖尿病は神経への血液の流れを悪くさせ神経障害を起こします。
肝機能が低下すると血液中のアンモニアが上昇し中毒症状を起こします。
肺癌では神経への転移による他に、転移が無くとも小脳の働きが低下して体のバランスが取れなくなったり、筋肉の脱力を起こしたりします。
不安が強いために呼吸が速くなり血液がアルカリ性になるために手足のしびれを起こす病気に過換気症候群というものがあります。
胃の切除手術を受けた後に、ビタミンB12の吸収障害が起こると体のバランスが取りにくくなったり、足の脱力が起きたりします。
エイズも神経を冒すことがあり、手足の感覚や運動が障害されたり、脳が冒されて痴呆をきたしたりします。
膠原病と呼ばれる免疫異常による病気でも神経の障害が起こります。
全身性エリテマトーデス(SLE)では、けいれん、うつ症状、頭痛、片麻痺、手足の感覚障害等多彩な症状がみられます。
サルコイドーシスという病気では脳神経の障害がみられ、特に顔面神経麻痺により瞼や口が閉じにくくなったり、視神経障害により視力低下を起こしたり、ものを飲み込む運動を司る脳神経の障害が起きたりします。
脳の障害により尿量が増えたり、肥満、体温異常をきたしたり、てんかんを起こしたりします。
ベーチェット病という病気で神経を冒されると片麻痺、言語障害、うつ症状、嚥下(のみこみ)障害、排尿障害等の症状が出現します。

 これまで神経疾患に関して神経内科の立場からお話しさせて頂きましたが、今回でひとまず終了とさせて頂きます。
神経の病気は治療法の少ないものが多いですが、それだけにもっとも研究が盛んな分野でもあります。
気になる症状がお有りの方はどうか早めに専門医にご相談になって下さい。
新しい治療法、診断法等皆様にお伝えしたい事がこれから色々出来てくることが期待されます。
その折りには、また、お話しさせて頂けたらと思っております。
ありがとうございました。