うつ病
うつ病も心療内科や精神科の領域といえます。
今回も神経内科の立場から、私なりの理解を申し上げます。
うつ病というと沈痛な面もちで沈み込んでいる人を想像されるかもしれませんが決してそうとは限りません。
とても饒舌に色々な症状を訴えるうつ病の患者さんもおられます。
前回お話しした不安神経症からさらに進行した形のものがうつ病だと私は理解しています。
どの点で進行したものかといいますと、不安神経症であれば、原因となったストレスが解決することで症状も改善されるのですが、うつ病では、症状が一人歩きを初め、最早、原因となったストレスとは無関係に症状が進行する状態となります。
不眠、食欲減退、便通異常、胃もたれ、頭痛、肩こり、関節痛、等々症状は不安神経症と同様で多彩であり、しかも検査をしても内臓に原因となる疾患が見つかりません。
精神的な不安により自律神経の活動に変調をきたしている状態です。
本人の訴えに比べ身体状態はさほど悪くなく、そのために自分の訴えを十分理解してもらえないという不満が潜在的に心に宿る様になり、症状をさらに悪化させます。
うつ病に対しても副作用の極めて少ない薬が次々と開発されています。
是非専門医の診察をお受けになることをお勧めします。
特に、自分の症状を周囲に訴えることが出来ず、悶々とするタイプの人は早めに診察を受けないと悲観的なことしか考えられなくなります。これは極めて危険なことと言えます。
どの様な病気でも言えることですが、病気を癒すためには患者さんと医者の間に信頼関係がなければなりません。
この先生に話しても分かってもらえないと不満を感じるようなら素直に自分の感じたままを担当医にぶつけるべきです。
そして、どうしても理解してもらえなければ、担当医を代えることを考えた方がいいと思います。
初発症状が痴呆と極めて似通っていて区別がつかないものに老人性うつ病があります。
老人性うつ病であれば抗うつ薬により症状は改善しますから、是非専門医の診察を受けることをお勧めします。