病気のこと

くも膜下出血

くも膜下出血

脳は軟膜という膜に覆われ、その上をくも膜が覆い、さらに硬膜が覆っています。
硬膜の外からは、頭蓋骨で脳は守られています。
このくも膜と軟膜の間(くも膜下腔)への出血を、くも膜下出血と呼びます。
最近は過労死の原因として注目されています。

くも膜下出血の起こる原因は、動脈の一部がこぶのように膨らんだ動脈瘤が、破裂することによるものと、先天的な異常により動脈と静脈の間に交通が出来たもの(動静脈奇形)からの出血によるものが多く、他に脳外傷によるものがあります。

症状としては突発性の激しい頭痛、吐き気、嘔吐を伴います。
さらに、一過性のことが多いですが意識を失う例も多く見られます。
出血の刺激で頸部が固くなり、手足の麻痺、視力障害、言語障害なども見られます。

検査としては、CTによりくも膜下の出血は比較的容易に診断がつきます。
出血の原因を探るには脳血管撮影が必要でこの検査により出血の原因がわかれば手術により出血を止めます。
この病気は再発の危険が高く、しかも最初の出血から4週間以内に起きることが多いと言われています。

したがって手術が治療としては望ましいのですが、直ぐに手術が困難な場合は再出血を予防するために血圧を下げる薬物や止血薬を使います。
脳血管は出血の後、痙攣を起こして血液の流れを悪くすることがよく見られます。

そして、これがくも膜下出血による死亡の原因になることがしばしばあります。
この様にくも膜下出血は生命を脅かす危険の高い病気といえます。
そこで、動脈瘤や動静脈奇形が見つかった場合はくも膜下出血の予防目的での手術が望ましい場合もあると言えます。
動脈瘤や動静脈奇形は先天的な血管の構造異常が原因で生ずるものです。

しかし、動脈瘤がどんどん膨れあがったり、動静脈奇形に流れ込む血液量が増加する背景には、現代社会におけるストレスの多い労働条件が影響を与えていることは否定できないと考えられます。
最近は脳ドックという脳の健康診断を行う施設が都会を中心に増えつつあります。
気になる症状がある方は早めに専門医に相談されることをお勧めします。