ギランバレー症候群
神経は、大きく中枢神経と末梢神経に分けられます。
脳から脊髄までが中枢神経で、脊髄から血管、筋肉、皮膚、内臓等に行くまでの神経を末梢神経と呼びます。
末梢神経の障害される原因の一つに、ギランバレー症候群と呼ばれるものがあります。
一般的に風邪のような症状があって、1~3週間後くらいに運動麻痺を主な症状とする障害が出現します。
麻痺は手足の先端の方から起こります。
程度もまちまちで、軽い麻痺から立てないくらいのものまであり、時には呼吸筋の麻痺により自発呼吸が出来なくなり人工呼吸器が必要になる場合もあります。
感覚の麻痺は一般に殆どありません。
顔面神経麻痺を同時に起こし、瞼が閉じにくい、口の端から食べ物がこぼれる等の症状が起こることがあります。
麻痺は大抵は1ヶ月以内に回復しますが、程度が重いと筋肉の委縮が残り麻痺が完全に回復しない場合もあります。
診断は比較的つきやすく、検査としては、脊髄液の細胞数は増えないのに蛋白量が増加することが特徴です。
原因はまだはっきりとは分かっていませんが、一種のアレルギー反応による末梢神経の損傷が考えられています。
多くの場合、特に治療することなしに自然に回復しますが、アレルギー反応を抑えるために、副腎皮質ステロイド剤、血漿交換療法、大量免疫グロブリン療法等が行われることがあります。
比較的予後の良い病気ですが、突然麻痺が出現するために患者さんはびっくりすることになります。
時には呼吸麻痺を伴うこともあり、この場合には生命の危険がありますから、早めに専門医の診察を受ける必要があります。
ギランバレー症候群とよく似た疾患で、進行が緩徐で慢性の進行性再発性の経過をとるものに、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)があります。
この病気では運動神経のみならず、感覚神経の障害も見られます。
副腎皮質ステロイド剤の有効なことが多いですが、無効例では血漿交換療法、人γグロブリン大量療法等が行われます。
これらの病気では、麻痺の回復のために薬物ばかりでなく、リハビリテーションが大変重要になってきます。