病気のこと

記憶障害

記憶障害

記憶は脳に情報を入れるという作業と、入れた情報を保存しておくという作業と、保存した情報を取り出すという3つの作業から出来ています。

このうち情報の保存と取り出しの作業は年をとっても健在です。
つまり、昔のことは良く覚えているということです。
これに対して新しく情報を入れるという作業は、年齢と共に難しくなっていきます。

つまり、物覚えが悪くなるということです。
よく言われる例えですが、「朝御飯に何を食べたか忘れる」のは大したことではないのですが、「朝御飯を食べたことを忘れる」のは深刻です。

記憶障害を起こす病気で、代表的なものは脳梗塞によるものと、アルツハイマー病です。
脳梗塞は、必ずしも記憶障害を起こすものではありませんが、場所により、あるいは何回も梗塞を繰り返すことで記憶障害を起こします。

脳梗塞の再発を予防する薬を服用することで、ある程度予防が出来ます。
一方アルツハイマー病は、脳の神経細胞がどんどん死んでいってしまう病気で、これにより記憶障害が起こります。
アルツハイマー病以外にも、脳の神経が死んでいく病気では、記憶障害が起きることがあります。
この様な病気を神経変性疾患と呼んでいます。

これらの病気では神経が「変性死」を起こして、どんどん脱落していきます。
アルツハイマー病をはじめとする神経変性疾患は、今もっとも研究が進められている分野であり、多くの新発見がなされています。
現在記憶障害を改善する作用が、ある程度期待できる薬が実際に使えるようになりました。
しかし、根本的な治療法は未だ見つかっていません。
現段階では進行を遅らせることが最善の手段といえます。

つまり脳を使うことです。
記憶障害を自覚したら、何とかそれを補う工夫を自分ですることが大切です。
そういう、創造的な作業を脳に命ずることにより脳神経を活性化することが期待できます。
惰性で行動することなく、短時間でも集中することを心がけてください。
脳には神経細胞の再生が起こることが最近分かってきました。
あきらめてはいけません。
希望を持って努力することが大切です。