独り言

地方の町の医者不足。

地方の町の医者不足。

最近、医師の研修システムが変わり、現場は大変混乱しています。
私はシステムが変わる前に大学を辞めましたが、私が教官をしていた時の学生や研修医は、自分たちの頃とは随分違っていました。

自分が将来専攻しようと思う診療科を選び、その医局に入局する者が私たちの頃はほぼ全員でしたが、最近は大学の医局に入局する者は極端に減ってきました。
特に私が在籍した様な、地方の新設医大ではその傾向が顕著です。

教授が厳しい、研修カリキュラムがしんどそう、等の理由で私のいた教室は敬遠されていました。
情けない限りです。
「私は大学のような先進医療ばかり追い求めるところではなく、無医村のようなところで役立ちたい。」と胸を張って言う学生もかなりいました。

こんなセリフは、医師になって5年か10年位してから是非言ってほしいものです。
大学を卒業したばかりの何も身に付いてない医者が、先進医療機器の助けも何もなしに、患者さんの診療をすることが出来るはずがないからです。
先進医療を身につけるには知識、技術両面で大変な努力を積まなければいけません。

そういう技術を身につけてこそ、何もないところでも何とかなるのです。
だから、無医村に行くことが絶対的な美徳のように考えている学生は私からしてみたら単なる怠け者でしかありません。

大体、そんなことを言っている人に限って、いざとなると一番楽な科を選ぼうとするものなのです。
今も大学から遠い地域は医師不足が深刻です。
私のいるところも開業医はそこそこの数がありますが、中核病院は医師の確保がままならず、医師会に協力を求めてきています。

大学で先進医療を身につけた上で、是非私のいる所のような地域で腕をふるってほしいものです。
そんな医師が増えるためには何か魅力がないといけません。
中央にはない魅力、それがなんなのかまだ分かりませんが、私を含めた医師も行政の担当者も魅力ある地方を作り出す努力をすべきなのではないかと考えています。