大学教授への道。
医学部で学び、晴れて医師となり、研修医を始めた頃、大抵の者は将来教授になることを夢見るものです。
かく言う私ですら、そんな夢を持ったことがあります。
教授の任期は概ね10年から20年位ですから、10年から20年に一人しか教授にはなれないということです。
不思議なことに学年により教授を多数輩出する学年と、そうでない学年があります。
私の学年は120名の内、20名くらいが教授になっているので、教授を多数輩出する学年だと言えます。
おかげで今、難しい患者さんを大学病院に紹介する時大変助かっています。
教授は大学病院で、唯一定年まで勤務する医師です。
他のポジションの医師は、しかるべき年齢になると、しかるべき病院のしかるべきポストに就いていくのが慣例となっています。
また、そういう風にポストをあてがうことが教授の大きな仕事のひとつでもあります。
教授は激務ですから、人並みはずれた体力を要求されます。
私が師事した教授は、皆人並みはずれた体力を維持するためか、旺盛な食欲の持ち主ばかりでした。
そしてとてもせっかちで、結論を出すのがとても早いことが共通していました。
教授になる人は大変優秀な人材ですが、学生時代から秀才の誉れ高い人で教授になった人も勿論ありますが、「えっ。彼がっ。」と絶句するような人もいました。
学生時代しか知らない私には、想像も出来ないようなその後の更正ぶりを見せた結果なのでしょう。
私の母校は、かつては研究論文のみで教授を選出する傾向がありましたが、
今は臨床能力を重視して選ばれることが多くなりました。
患者さんの立場からしたらネズミやウサギのことに詳しくても、人の身体となるとさっぱりなんて教授じゃ安心して診て貰えませんから、大変いい傾向だと思います。
同期の優秀な人材で、なぜ教授を目指さないのだろうと思うような人もいますが、何が何でもなるという決意を持った人でないと教授にはなれないし、
そんな人でないと務まらないポジションに違いありません。