脳梗塞・一過性脳虚血発作
脳の、神経細胞への血管が詰まる病態を、脳梗塞と呼びます。
神経細胞は、休み無く働いている細胞なので、常にエネルギー源のブドウ糖と、エネルギーを作るための酸素を必要としています。
しかし、神経細胞は、細胞の中にエネルギーを蓄えることが出来ないので、常に血液中からブドウ糖と酸素を補給しています。
この「自転車操業」状態の神経細胞への、血液の流れが悪くなるのが脳梗塞ですから、深刻な症状が出現することもうなずけると思います。
脳は役割分担がある程度決まっています。
ですから、血液の流れが悪くなる部位により症状が変わってきます。
運動を司る部位ですと、麻痺が起こり、言葉を司る部位だと話せなくなります。
記憶を司る部位だと、記憶が無くなったり、物覚えが悪くなったりします。
血管が詰まる最大の理由は動脈硬化により、血管が細くなることです。
糖尿病、高血圧、高脂血症は動脈硬化をさらに悪化させます。
ですから、日頃から脳梗塞を引き起こしやすくする、これらの病気をきちんと治療しておくことが大切です。
麻痺やしびれ、めまい等の脳梗塞に見られる、神経障害が起こるけれども1日の内に治ってしまうものを一過性脳虚血発作と呼びます。
これは、脳血管が一瞬詰まるのですが、直ぐにまたもとのように血液が流れたために、症状が治る病態です。
これは、大きな脳梗塞を起こす危険を知らせてくれる病態と言えますから、もしこんな症状があったら、直ぐに専門医の診察を受けて下さい。
大きな発作の予防薬があります。
不幸にして脳梗塞を起こしてしまわれた方も、悲観することはありません。
脳の血管は再生しますし、脳神経細胞には予備のものがあり、また新たに神経細胞が作られてくることが分かってきました。
リハビリにより脳神経に刺激を送り続けることで、この様な神経の再生を促すことが期待できます。
辛くて辛抱の必要な治療ですが、諦めずにリハビリを続けて下さい。
薬で神経障害を治すものは現在はありませんが、神経の再生を助ける薬はあります。
しかし、最良の薬はいつの日も周囲の人の親切な励ましと、いたわりではないでしょうか。