残念な常連客
院長のひとりごと144
美味しいお店だと紹介されて、和歌山市のお寿司屋さんへ行きました。
若いご主人がされているお店で、評判が良くて立地の良い場所へ移転してこられたお店でした。
白木のカウンターが美しく、ネタも大変新鮮で、決して安くはないのですがこの料理なら、と納得の出来る料金でした。
こじんまりとしたお店なので、お店に入ると私たちの席以外は全て塞がっていました。
カウンターには若いカップル、若い女性の二人連れ、中年の女性三人組が先客でいました。
私の隣に中年女性3人組が座っていたのですが、料理そっちのけで声高に話し込んでいました。
聞きたくなくても耳に入ってくるので、その三人のうちの一人が社長で、その人が同年配の知人か部下かに当たる二人を持てなしているようでした。
時々、ここへ誰それを今度連れてこよう、とかいう話題はありますが、目の前の料理の感想は一切ありません。
何品かの料理の後、お寿司になりましたが「もうおなかが一杯でお寿司は入らない」とご主人に言うと、「寿司がいらないなら日本料理屋さんに行ってください」と言われていました。
常連らしい客相手ですから、冗談交じりの会話でしょうが、このご主人の心情を察してあまりあるものがありました。
「もう来んでいいで。」という思いが少し入ってました。
店を運営するためには、客のえり好みは出来ないでしょうが、職人のプライドが傷ついていました。
私もやっかいな患者さんに会うと「次はよその病院でどうぞ。」と言いたくなるときがあります。
私たちはこの女性客とは対照的に、料理もお寿司も大変美味でしたので、味わう度毎に、料理の感想を言ったり食材に関して質問したりしながら食べていました。
食事が済んでお店を出るときに、ご主人が店の外まで見送って下さいました。
通常は店のスタッフが見送るそうなので、満足そうな私たちにご主人の心が少し癒えた証だったのかもしれません。
2016年12月20日