院長のひとりごと218
ファーストペンギンというドラマが面白くて毎週楽しみにしています。
素人の女性が、漁師町で新たな魚の流通経路を開拓しようとして既存勢力と戦う話です。
ファーストペンギンというのは、ペンギンの群れの中で鮫がいるかもしれない海に、一番最初に餌を探しに飛び込むペンギンを指すそうです。
既存勢力と戦うというのは大変勇気がいるし、周囲の理解を得るためにはとても労力を必要とすることです。
私も以前、新宮市の中核病院の医師からアルバイトをさせてくれと言われ、断った時色々とトラブルが発生し、結局妥協したことがあります。
自分の筋を通すと、クリニックに大きな経営上のマイナスをもたらすことになるため、泣く泣く妥協しました。
医師会の運営する準看護学校の学生が、新宮市以外の人ばかりで卒業しても新宮市の診療施設で働いてくれないという問題が起きた時も、うまい解決策がなかなか見つからなかったのですが、医師会の理事会の会合の時、自分なりの考えを述べていたら「先生この問題を是非よろしく。」と丸投げされそうになり、結局動きませんでした。
私にはファーストペンギンになれる資質は無いように思えます。
思えば島根医科大学に在籍した時は、私の上司の教授はいろいろな問題に真っ向から立ち向かい、数々の成果を上げておられました。
その影には勿論反対する人もいたでしょうし、色々と軋轢も感じておられたでしょうが、筋を通されていました。
まさにファーストペンギンでした。
例えるなら信長の様な決断力と、秀吉の様な創意工夫を兼ね備えた方でした。
私にはこの教授の様な資質はありませんが、家康のごとく耐えに耐えて活路を見いだしていければと念じております。
新宮市の医療にも色々と問題が山積しており、コロナが一段落すればそういった問題がまた取り沙汰されることになると思います。
あくまでもクリニックの責任者として、地域の医療問題に対してどう取り組むべきか、また私個人の限界もそれに加味しながら、忍耐強く考えて対応していきたいとドラマを見ながら考えています。