透析について
腎臓の働きが悪くなる状態を慢性腎不全と呼びます。そして慢性腎不全が進行するとついには尿が出なくなり血液中の不要な物質が腎臓から排泄されなくなります。このような状態を尿毒症と呼びます。そして尿毒症に対する有効な治療法として人工透析があります。人工透析に関して説明させて頂きます。
人工透析のお話の前に、腎臓に関しての大まかな説明をします。
腎臓は左右1対ある臓器です。
腎動脈から腎臓に入った血液は、ネフロンと呼ばれる機能構造体の糸球体というところで不要物を濾過されます。糸球体で血液から濾過された水分ならびに排泄物は尿細管というところで必要なものが再吸収尿された後、尿として膀胱に蓄えられます。ネフロンで洗浄された血液はその後腎静脈を介して心臓に戻ります。
人工透析解説図
腎臓は血液を浄化することに加えて多様な働きをしています。
その主なものは以下の通りです。
- 血液中の老廃物を排泄する 透析患者さんではこれができないため血液検査でクレアチニン, BUNが上昇します。
- 血液中の水分を排泄する 透析患者さんではこれができないため体重増加が起こります。
- 血圧調節に関与するホルモン(レニン)を分泌する 透析患者さんではこの調節ができなくなり高血圧が起こります。
- 造血ホルモン(エリスロポエチン)を産生する 透析患者さんではこれができなくなり貧血が起こります。
- 血液を弱アルカリ性に保つ 透析患者さんではこれができなくなり血液が酸性になります(代謝性アシドーシス)。
- ビタミンDを活性化する 透析患者さんではこれができなくなり副甲状腺機能亢進症が起こります。
- 電解質のバランスを保つ 透析患者さんではこれができなくなり高カリウム血症、高リン血症が起こります。
慢性腎不全の症状 このような多様な作用をもつ腎臓の機能が傷害される慢性腎不全が進行すると図に示されるような多様な症状が出現します。
それでは人工透析に関してのお話を進めます。