運動障害
運動に関係している神経には、脳から脊髄を通って筋肉に達する経路が中心ですが、運動を滑らかにする神経がこれに加わります。
滑らかにする神経には、小脳の神経と大脳から脊髄に行く間にある神経があります。
脳梗塞で運動を支配する神経が障害されると、脳梗塞を起こした側と反対側の手足の力が入らなくなります。
同時に顔の筋肉を動かす神経も麻痺して、瞼が閉じなかったり口が閉じれなかったりします。
脊髄で障害されると足の麻痺が起こります。
これは、脊髄の血管が詰まったり、背骨(脊椎)の変形により脊髄が圧迫されたり、外傷で脊髄が損傷したときに起こります。
脊髄より末梢で神経が障害されると、片方の手や足だけが麻痺します。
恋人に腕枕して翌朝腕が麻痺する末梢神経麻痺を、「土曜の夜症候群」と昔習った覚えがあります。
医学部の講義も堅いばかりではありません。
小脳が障害されると運動が不安定になります。
ちょうど酔っぱらったみたいによたよたとした歩行になります。
鍵穴にうまく鍵がさせない等、細かい作業が難しくなります。
言葉も酔っぱらったみたい呂律の回らない話し方になります。
これは小脳の神経が障害される小脳変性症という病気で起こります。
脳の中で、大脳と脊髄をつなぐ部分で運動を滑らかにする場所があり、そこの神経が障害されると動きが強ばってしまいます。
歩こうとしてもうまく足が出なかったり、手が振るえて細かい作業が出来なかったりします。
また、顔の表情が乏しくお面を被ったようになります。
この様な症状はパーキンソン病とよばれる病気で起こります。
幸いパーキンソン病は神経の病気の中では数少ない特効薬のある病気なので薬により症状が軽快します。
脳の神経細胞はこれまで再生されないといわれていましたが、最近脳神経細胞が再生することが発見されました。
再生がどの様にして起こるかは未だ不明ですが、脳に刺激を与えることが大切だと思われます。
ですから、リハビリを積極的に行い障害された神経に刺激を与えることは、血液の流れを良くして神経の回復を促すことと共に大変有効な治療法だといえます。