院長のひとりごと184
新型コロナウィルス対策のため医師会から緊急招集を受けました。
その席で保健所長から説明を受けたのですが、あまりにも事務的で医師会員が矢継ぎ早にきつい質問責めにしていました。
そもそも役人の作った後手に回ったマニュアルを通達することしか考えてなかった所長は、気の毒なくらいしどろもどろでした。
全く実りのない90分の会議で得た情報は、マニュアル通りのケース以外には医師の責任で対処することと、感染者に濃厚接触した場合は2週間の診療停止になる可能性が高いということでした。
通常の外来患者を対象にした開業医でも、2週間の診療停止は大変な負担です。
ましてやうちは透析クリニックです。
2週間診療を停止したら患者さんがどうなるかは自明の理です。
うちは消滅します。
こんなことを平気で言える保健所長のセンスにあきれながら、うちの対応を考えていました。
会議の席である医師は「中国人の診療を全て拒否するのは人道的にどうかと考える。」と発言していました。
その意見に反対する人は少ないと思います。
ただ私がその意見に従って中国人を診察した結果、コロナウィルス感染者に濃厚接触し診療停止になることは透析患者さんにとって人道的見地からどうなのでしょうか。
私は青臭いほど正論を振りかざし煙たがられる方ですが、正論というのは立場が違えば受け取り方が変わると初めて知りました。
私がうちのクリニックでの新型コロナウィルス感染者対策をどう決めるかは早急の問題ですので、躊躇なく決定しなければいけません。
うちが何を一番優先すべきかを考えて決めたいと思います。
行政は無策であり、医師会でも立場の異なる医師が。それぞれの立場で意見を述べるだけで統一見解はないのですから、私自身がうちのクリニックの診療方針を決めなければいけません。
ごく当たり前のことですが自己責任で対処するということです。
私は新コロナウィルス肺炎の重篤性よりも、対応する保健所、役所の現場無視の方策の方がとても恐ろしい限りです。
※画像は国立感染症研究所より引用。